2015年4月30日木曜日

イグアス・ツアー1日め(ブラジル側から見るイグアスの滝)



 4連休を利用して、南米の名所であり、ユネスコ世界遺産でもある、世界最大の滝、「イグアスの滝(Cataratas do Iguaçu、カタラータス・ド・イグアスー)」にやってきた。

 イグアスの滝は、ブラジルの中でも、かなり南のほうにあって、イグアス川は、ブラジルとアルゼンチンの国境の一部にもなっている。

 南米大陸の南のほうは、東側(大西洋側)をブラジルの海岸山脈に、西側(太平洋側)をアンデス山脈に囲まれて、大陸規模の大きな盆地のような地形になっている。



 そのブラジルの海岸山脈、クリチバ(Curitiba)あたりを源流とするイグアス川は、その大きな盆地に至って、川幅が1キロ以上もある、流れが緩(ゆる)やかな大河となり、「イグアスの滝」のポイントへと至るのである。

 その広大な大河から、長さ4キロにわたって、300もの滝が流れ落ちるのが「イグアスの滝」だ。

 滝を通過したイグアス川は、狭い流れ(といってもその川幅は150mほどある)になって、パラナ川に合流し、アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスで大西洋へと流れ出るのである。



 「イグアスの滝」のところで、ちょうどイグアス川がU字にカーブしていて、滝はその「U」の字の、真下にあたる部分にある。

 そして「U」字の内側がブラジルで、「U」の外側がアルゼンチンだ。

 300もある滝のほとんどは、「U」の外側から内側に向かって流れ落ちる。

 だから、「U」の内側、ブラジル側から見ると、(さすがに300すべては見えないものの)ずらっと連なる大きな滝が、こっちに向かってどんどん流れ落ちてくる様子を見ることができる。

 逆に「U」の外側、アルゼンチン側からは、それぞれの滝の上から、横から、真下から、水しぶきを浴びながら、それぞれの滝をじっくりと味わうことができる。

 このことから、ブラジル側では「劇場の客席から舞台を見ているよう」と言われ、逆にアルゼンチン側では「舞台の上から客席を見ているよう」と言われている。

 ブラジル側で滝の全景を眺めておいてから、アルゼンチン側で個々の滝を見るか。あるいはアルゼンチン側で個々の滝を見ておいてから、ブラジル側で改めて滝の全景を確認するか。

 我われのツアーは、当初は到着初日にバードパーク(野鳥公園)、ディナーショー(南米各国の民踊(みんよう))を見て、二日めにアルゼンチン側イグアスの滝、三日めにブラジル側イグアスの滝、という順序で回る予定だった。

フォス・ド・イグアス国際空港に到着(同行のN口さんとN西さん)

 ところが、昼過ぎにイグアス空港に到着すると、出迎えてくれたツアーガイドの矢野さん(イグアス在住の日系二世の方)から、

「ブラジル側でイグアスの滝を見学する予定の明後日(三日め)が、ちょっと天気が悪そうなんです。できれば今日の予定と入れ替えて、今日、ブラジル側のイグアスの滝を見学されたほうがいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょう?」

 こちらは、今週は雨が続いていて、今日、久しぶりに晴れたんだそうな。しかも真っ青な空が見えるドピーカンの快晴だ。

 雨で水量が増えている上に、この快晴。ご提案に従って、ブラジル側のイグアスの滝に向かうことにした。

 矢野さんの運転する車で走ること10分ちょっと。もうイグアス国立公園の入口に到着だ。

『なんだ? すごく近いんだなあ』

 と思ったものだが、実はこの先が長かった。この先は一般車両は入ることができず、通行できるのは専用のシャトルバスか、ツアーガイドが運転する事前登録済みの車のみ。こうすることで、原生林が続く公園内の生態系を守ってるんだね。

イグアス国立公園
上の図の、いちばん左端が国立公園の入口で、右端(Uの字の先端)に滝がある。

 我われは、まっすぐに滝を目指してるんだけれど、上の図にあるとおり、実は他にもいろいろと観光ポイントがあるようだ。


 さぁ、着いた。上の図の左上のバス停のマーク、「YOU ARE HERE」と書かれた場所だ。

 ここから遊歩道を降りていきながら、イグアスの滝を見学する。

 図に描かれている滝は、300ほどあるイグアスの滝のほんの一部。ほとんどの滝はこの図の下側。つまり遊歩道から見ると、皮の向こう岸(アルゼンチン)側に、4キロにわたって連なっている。ブラジル側からは、その全容を見ることができるのだ。

 ちなみに、上の図の右端の上のほう。滝がえぐれたように奥に裂けているところが、イグアスの滝の最深部、「悪魔ののどぶえ」だ。


 そんな案内図を見ているところへ、うろうろと寄ってきたのはハナグマだ。人間に慣れているのか、どんどん近くまでやって来る。このハナグマは、イグアスにいる間中、ブラジル側でもアルゼンチン側でも、いつも近くでウロウロしていて、最後には、そこにいることすら気にならなくなったぐらいだった。


 抜けるような青空に、広大な原生林。そのなかに、ドォ~~ッという滝の音が響きわたる。この場にじっとしているだけでも、十分に癒しになりそうだ。

 遊歩道を進むにつれて、だんだんと高度も下がってきて、川面に近くなっていく。


 遊歩道の、そこここに、ビューポイント(展望台)が設定されいて、多くの観光客たちが、そこで記念写真を撮ったりしている。


 それらのビューポイントからの眺めは確かにいい!

 このあたりから、水しぶきを感じるようになってきた。まるで小雨の中にいるように、ジワァ~ッと水滴が降りそそいでくるのである。カメラが濡れないように、気をつけないとなあ。


 遊歩道を進むにつれて、滝の迫力がだんだんと増してくる。

 たくさんの滝が流れ落ちるなか、一番奥で、高い水煙を上げながら落ちているのが「悪魔ののどぶえ」だ。

 滝の水しぶきを受けて、川の中には虹(にじ)も出ている。


 イグアス国立公園は自然にあふれていて、哺乳類は約80種類、鳥類は約450種類、そしてなんと1,000種類を超える蝶(ちょう)がいるんだそうな。

 この蝶は、はねに「88」という数字が書かれているように見える。


 「悪魔ののどぶえ」のビューポイント(展望台)が見えてきた。これから、あそこに向かうのだ。

 土曜日、日曜日などは、ここにずらりと人が並んで、なかなか進めない状態になるらしい。

 ところが今日は木曜日。うちの会社は休みだけれど、世間は平日なので、観光客もそれほど多くない。その意味でも、今日のうちにイグアスの滝の観光をしておいて、よかったかもしれない。当初の予定どおり、明後日(土曜日)にここに来ると、たいへんだったかもなあ。


 「この先は、カッパを着ていってくださいね」とガイドの矢野さん。

 この展望台から見学するときはカッパが必要ということで、イグアス国立公園の入口にある売店で、カッパ(15.00R$、約600円)を買ってきているのである。

 ちなみにカッパは、ポルトガル語でもカッパ(capa)だ。というか、パンやカステラと同じように、ポルトガル人がカッパという言葉を日本に伝え、後にそれに“合羽”という漢字があてられたようだ。


 展望台の上はもう、水浸し。大雨が降っているような感じだ。

 水しぶきのすきを見て、サッと写真を撮る。

 右奥のほうが「悪魔ののどぶえ」なんだけど、グイッと左方向に切り込んだようになっているので、ここからはその最深部を見ることはできない。

 なお右端の滝の上に、横に黒い線のように見えるのが、アルゼンチン側の展望台だ。明日は、あの展望台から、ドオドオと落ちていく「悪魔ののどぶえ」を眺める予定なのだ。


 「悪魔ののどぶえ」のビューポイントを過ぎると、そこが遊歩道の終点で、レストランや売店がある建物に到着する。

 この建物の奥が、イグアスの滝の端っこ。すぐ目の前を落ちていく滝を見ることができる。冒頭の動画も、ここで撮影したもの。

 こんなにも間近で滝を見ることができるんだね。その迫力にびっくりだ!


 この展望台の建物にはエレベーターが付いていて、これまで1時間ぐらいかけて、ゆるゆると下ってきた高度を、一気に取り戻して、もとの道路のレベルにまで連れて行ってくれる。

 そして、エレベーターで昇った上の階からは、滝全体を見下ろすことができるのもすばらしい。

 すでに何度も紹介しているとおり、奥の水煙が上がっているところが「悪魔ののどぶえ」だ。


 その「悪魔ののどぶえ」のあたりをよ~く見ると、人がたくさんいるのが見える。

 そこが、アルゼンチン側の「悪魔ののどぶえ」の展望ポイントだ。明日は、あそこから滝を見るわけですね。明日も楽しみだ。

 目の前のバス停から公園内バス(乗車料金はイグアス国立公園入園料に含まれる)に乗って、遊歩道の出発点まで戻り、そこからガイドの矢野さんの車で、フォス・ド・イグアス市内のホテルにチェックイン。

 これから夕食まで、しばしの休憩だ。

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