私と同じころにブラジルにやって来たYさんが、2ヶ月間の赴任期間を終えて帰国することになりました。
もう2ヶ月か。あっという間だなあ。
同じアパートに住んでいたYさんとは、よく一緒にポルキロ・レストラン(量り売りの大衆食堂)で夕食を食べたものでした。
そのポルキロ・レストランからの帰り道。あとちょっとでアパートに着くというところにある公園に、1軒のやきとり屋台があって、夜な夜な大勢のお客さんでにぎわっています。
「もうちょっと(ポルトガル語の)レベルが上がったら、この屋台で飲んでみたいと思ってるんだよね。Yさんが帰国するまでの間に、行けるようになるかなあ」
なんてことを以前から話していたのですが、Yさんは明日帰国なので、この屋台で飲めるのは今晩のみ。
「よしっ。今日はポルキロ・レストランはやめて、ここで飲もう! なんとかなるだろう!」
ということで、あとさき考えずに屋台へと突入です。
屋台といっても、日本の屋台のように、屋台の中で飲み食いするわけではありません。屋台は厨房部分のみ。公園内のそこここに簡易的なイスやテーブルを設置していて、飲み食いするのはそこでやる。
普通のレストランに行くのと同じように、空いた席を見つけて座っておけば、注文も取りに来てくれるのです。
そのことを知らない我われは、日本と同じように、まずは屋台そのものに向かいました。
『どうやって注文するのかなあ???』
と思いながら、大串のやきとり(バーベキュー)が焼けている様子を眺めていると、お店のおばちゃんが、1枚のレシートを渡してくれました。
右の写真がそのレシートです(クリックすると拡大します)。この写真は、飲み終えてから、帰宅後に写したので、すでに注文数やお勘定の額まで記入されていますが、実際に渡されたのは、何も記入されていない、ブランクシートの状態のものです。
これはありがたい。
朝食の屋台にはメニューはなくて、店のおばちゃんが、その場で、「○○×△□、××□○、………」と、できるものを教えてくれるのですが、これがまったく聞き取れなくて、なんだかわかんない。
このやきとり屋台もそうだったらどうしようと、ちょっと心配していたのです。こうして書いたものを渡してくれると、少しは分かりやすいですよね。
とはいうものの、なにしろポルトガル語で書かれいるので、やっぱりほとんどわからない。
しかも! 日本のやきとり屋、もつ焼き屋でもそうであるように、こういうところで売っている料理は、独特の名称で呼ばれている。
心臓はハツだし、胃袋(豚)はガツ、腸はシロ、テッポウなどなど、日本人でも「これなに?」と思う人が多い。
ブラジルのやきとり屋台も、それと同じなんですね。後ほど、このレシートに書かれている内容を、辞書で調べてみたのですが、辞書に載ってない言葉がたくさんありました。
「仕方ない。我われでもわかるものからいってみよう」ということで、
「え~と。カルネ(牛肉)とフランゴ(鶏肉)を、ドイス(2本)、ドイス(2本)ね」と、レシートのその部分を指さしながら、日本語まじりの片言で注文。
これでも注文が通るんだからありがたいですよねえ。
注文を受けると、日本のように「正」の字を書くのではなくて、1本あたり1個の「/」マークを付けていきます。(こうしてみると、日本の「正」の字による集計は、数の間違いが少ない、いい仕組みなんですね。)
そして飲み物。まずはやっぱりビールですね。こちらでよく見かける銘柄である「SKOL(スコール)」がメニューに並んでいますが、その後にカッコ書きで注記が入っていて、(LATÃO)は4R$、(LATA)は3R$とのこと。LATAは「缶」のことだから、大きさの違いなんだろうな。
値段がちょっと高いLATÃO(ラタオン)のほうを2本もらうと、予想どおり、SKOLの473ml缶が出てきました。(こちらの缶ビールは、日本の350ml、500mlという大きさに近いんだけど、ちょっとずつ違うんです。)
これが4R$(180円)というのは安いですよね。
やきとりは注文を受けてから焼くようで、プラコップで2杯ほどのビールを飲み終えるころに出てきました。
おぉ~っ。でかいっ! 日本のやきとりと比べると、長さも幅も厚みも、それぞれ2倍ほど大きい感じです。ということは、重量や体積で見ると、8倍(2の3乗)も大きいってことか。
これで1本が3~4R$(135~180円)なんだから、これまた安いですよね。
やきとりは塩焼きのみ。日本のようなタレ焼きはありませんし、そもそも注文するときに味付けも、焼き具合も聞かれません。
ビール中缶をひとり1本ずつ飲み終えたあとは、Yさんがブラジル最後の夜なので、ブラジル原産のカシャーサ(サトウキビの蒸留酒)に切り替えようとしますが、メニューにはカシャーサ(Cachaça)の文字はありません。
そうか。ビールも、メニューにはビールとしては載ってなくて、「SKOL」という、ビールの銘柄で書かれてましたもんねえ。カシャーサもそうなってるに違いない。
ちょうど近くを通っていた店のおねえさんを、「モッサ!(おねえさん!)」と呼び止めて、「ドイス・カシャーサ・ポルファボール」と注文してみると、すんなりと注文が通りました。
すぐにプラコップ入りのカシャーサ2杯と、半分にカットしたライムを2個持ってきてくれたおねえさんは、レシートの「CANINHA(カニーニャ)」の欄に「/」マークを2個記入していきました。(カニーニャというのは、カシャーサを作っているメーカーの1社のようです。)
このカシャーサ1杯(といっても45ml程度)が2R$(90円)。アルコール度数40度ほどのものが冷や(常温)で供されるので、そのまま飲むときついこときついこと。それなのに、ライムを搾り入れるだけで急に飲みやすくなるんだから素晴らしい。あとは炭酸水があれば、ほとんどライムハイだな。
やきとりのほうは、ミックス(MIST、3.5R$)を2本、手羽(ASINHA、3.5R$)と鶏ハツ(CORAÇÃO、3R$)をそれぞれ1本ずつ注文したものの、今日は鶏ハツがないと言う。
それじゃあと代わりに注文したのが、メニューの一番最初に載っている「カウジーニョ・ヂヴェルソス(CALDINHO DIVERSOS、3R$)。これが何かはわからないんだけど、メニューの冒頭にあるからには、この店の目玉商品に違いない。
ほとんど待つ間もなく、あっという間に出てきたのは、プラコップにたっぷりと入った、黒いドロドロとしたもの。プラスチックの小さなスプーンが添えられています。
「これが、これ?」
そのプラコップの黒いドロドロと、メニューの冒頭に書かれている文字を順番に指さしながら確認すると、おねえさんはニッコリと笑って「そうだ」という。
おそるおそる口に入れてみると、うん? これ、けっこう旨(うま)いじゃん。
なんだかわかんないような小さな具材もいろいろと入っていて、中のほうからは、うずらのゆでたまごも出てきました。
翌日、現地の人に確認してみたところ、やっぱりこれがこの屋台の目玉商品で、メニューの名称は「いろんなものが入った小さな煮込み」みたいな意味なんだそうです。
注文するとすぐに出てくるので、まずはこの煮込みをつまみに、ビールなどを飲みつつ、自分の注文したやきとりの焼き上がりを待つのが、この屋台の定番のスタイルなんだそうです。
私も今度からはそういう注文の仕方をすることにしましょう。
ゆっくりと2時間ほど楽しんで、今日のお勘定は二人で55R$(2,475円)。結局、カシャーサは8杯(ひとり4杯ずつ)もいただいたのに、お勘定がひとりあたり1,250円ほどというのがすばらしいなあ。
たっぷりと酔っ払って、歩いて1分ほどのアパートに帰りついたのでした。
朝食: シャルケ・アブレジェイラ、マカシェイラ、チーズ入りパン、メロン、カフェオレ。いつもと変わらない時間に会社に着いたのに、食器置き場にはナイフが無くてフォークのみ。ナイフだけが先に無くなっちゃうって、どういうこと? 仕方なくフォークだけでマカシェイラ(キャッサバ芋の北東部での呼称)を切り崩しながら、シャルケ・アブレジェイラ(ペルナンブコ州奥地の典型的な干し肉料理)を食べる。メロンは、スイカを食べるときのように手づかみで!
昼食: ブラジルステーキ(Bife à Pizzaiolo)、フェイジョン・コン・アホス(黒豆)、スパゲティ、サラダ、バナナ、ジュース。ブラジルステーキは、タレが醤油っぽい味わいで、懐かし美味い。デザートのバナナは、いつも形が悪いんだけど、味はいいのだ。
夕食: アパート近くの公園で、夜な夜なオープンする屋台「シュハスキーニョ・バイアーノ(CHURRASQUINHO BAIANO)」にYさんと二人で初訪問。見た目は「やきとり屋台」なんだけど、シュハスキーニョという店名だから、本当は「バーベキュー屋台」なんだね。それにしても、屋台のような暗いところでは携帯電話のカメラはだめだなあ。改めてNikon P330(故障中)の暗いところへの強さを認識した。
社員食堂の朝食 |
社員食堂の昼食 |
屋台「バイアーノ」のやきとり |
小さな煮込みとカシャーサ |
0 件のコメント:
コメントを投稿