リングイッサ |
まだまだ近所をトコトコと歩きながら、経験値を少しずつ上げているところですが、そんな近所で、とても気になる酒場を発見しました。
入口の戸はなくて、すべてがオープンな造り。店内はL字カウンターのみ20席ほどという、絶妙な大衆酒場空間の様相を呈しています。
見つけたのは先週の土曜日だったのですが、それからちょうど1週間たった今日、意を決して店内に踏み込んでみることにしました。
午後2時過ぎの店内は、すでに先客たちでほぼ満席の状態。いちばん端っこに、かろうじて空いていた1席に座り、壁のメニューを確認します。
メニューはもちろんポルトガル語のみ。でも、ずらりと並ぶ先客たちの前には、一様に瓶ビールが並んでいるので、瓶ビールがあることはわかっています。
はたして、メニューの右側、最上段に「CERVEJA 7.00」とありました。CERVEJA(セルベージャ)というのはビールのこと。この店にはありませんが、CHOPE(ショッピ)というのが生ビールのことです。
お酒と、つまみに関する単語(名詞)は、まっ先に覚えてきたのです。
すぐに目の前に注文を取りに来てくれた店のおねえさんに、
「ウマ・セルベージャ、ポルファボール(英語だとビア・プリーズ)」と片言のポルトガル語で注文すると、
「スコール?」と聞き返してくるおねえさん。スコール(SKOL)というのはビールの銘柄で、この辺のスーパーに行っても、ビールと言えばスコールといった感じで、スコールばかりが大量に並んでいるのです。
「シン」とだけ答えます。シンは、英語のイエスと同じです。
すぐに冷蔵庫にスタンバイされている瓶のスコール(600ml)が保冷ケースに入れられて、コップと一緒に目の前に出してくれます。こうしておいて、ポンッと栓を抜いてくれるんですね。
外とつながっている(戸がない)タイプの酒場では、ビールは保冷ケースに入れて出してくれるところが多いようです。
国によっては、ビールがあまり冷えてなかったりするのですが、ブラジルは日本と同じく、しっかりと冷してくれているのがありがたい。
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッと、のどを鳴らしながら飲む1杯めのビールの、なんとうまいことよ!
「#$○&%$#%$▽#□?」
ニッコリと微笑みながら、なにやら聞いてくる店のおねえさん。
う~む。何を言ってるのかさっぱりわかんないけど、きっと「料理はどうしますか?」みたいなことを聞いているんだろうな。
「ナン(=ノー)」と言いながら、首を横に振ると、
「$▲◇# バタタ ○#%&□●◆?」
と次なる質問を繰り出してくるおねえさん。バタタ(=ポテト)という単語だけわかったなあ。
カウンター内の厨房中央部に置かれた金属バットの中に、大量のポテトフライが置かれていて、それが小皿のお通しとしてみんなに出されているようです。
おねえさんはきっと、「お通しのポテトフライは食べるよね?」みたいなことを聞いてるんだろうな。
コクンとうなずくと、すぐに小皿にポテトフライをついで出してくれました。(のちのお勘定から逆算すると、このお通しのポテトフライはサービスのようです。)
あぁ~っ。それにしても、酒場で飲むビールはうまいのぉ。
単身赴任社宅でも、これと同じビール(缶入りだけど)を飲んでるんだけど、ひとりで飲むのと、酒場で呑兵衛に囲まれて飲むのとでは、味わいがうんと違って感じます。
言葉はほとんどわかんないんだけれど、少し向こうで、ビール瓶を3本ほど並べているおじさんが、すっかりできあがって大きな声で盛り上がっていたり、となりのカップルがビールを飲みながら楽しそうに語らっている様子も、実にいい。
ポテトフライをつまみに、あっという間に1本めのビールを飲み終えます。
「ポルファボール。マイズマ・セルベージャ(すみません。ビールをもう1本ください)」
近くを通りかかったおねえさんに、ビールのおかわりをお願いすると、保冷ケースから空き瓶を取り出してカウンター上に置いたあと、冷蔵庫から新しいビールを取り出して、また保冷ケースの中に入れてくれます。
ビールを何本もおかわりすると、カウンター上にその空き瓶がどんどん並んでいくんですね。「河本」のホッピーみたいだ。
このビール(600ml)が、1本7レアル(約320円)というんだから安いですよね。
「ウマ・リングイッサ、ポルファボール(ソーセージを1本ください)」
ソーセージは1本が3.5レアル(約160円)。ビール用の冷蔵庫の前に、「Linguica, 1-3.50, 2-7.00, 3-10.50, 4-14.00, ……」と、まるで「宇ち多゛」のような換算表が貼ってあるので、きっとこれが名物に違いないと思ったような次第です。(実はこの店の名物は、別のものだったのですが、それついては後ほど。)
ソーセージは奥の焼き台で、大きな串にずらりと並んで焼かれており、そこから1本取って小皿で出してくれます。横に添えられてるのは小さなビニール袋に入ったビナグレッチ(トマトと玉ねぎのビネガー和え)とファロッファです。
午後3時を過ぎると、じわじわと閉店準備に入ります。昼の部はここまでで、あとは夜の部もあるのかな?
それからもさらに30分ほど、ソーセージをつまみに2本めのビールをゆっくりと飲んで、1時間半ほどの酒場浴。
ブラジルに来て初めての『ひとり呑み』のお勘定は、17.5レアル(800円ほど)でした。千円にも届かなかったなあ。
ところでこのお店、私が発見できないだけかもしれませんが、「武蔵屋」と同じように、どこにも店名が書かれていないのです。
なんていう店名なんだろうなあ、と思っていたら、店の中で出されたカード(たぶんお勘定用)に「Galeto Pekin, Desde 1979」(公式サイト)と書かれている。きっとこれが店名なんですね。
帰宅後、辞書で調べてみたところ、galetoとは『若いおんどり』のこと。ということは、「ひな鶏 北京 1979年創業」ってな感じなんでしょうか。
そう言えば、焼き台のところにたくさんの鶏が並んでました。その場ではメニューの意味が理解できなかったのですが、メニューにもまっ先にその「ひな鶏」が出ています。
丸ごと1羽が26レアル(約1,200円)、半身が14レアル(約640円)、1/4身(胸肉かもも肉かってことなのかな?)が7レアル(約320円)という値段。半身の値段は「鳥房」と同じぐらいだ!
この店の名物は、ソーセージではなくて、実はこの「ひな鶏」だったんですね。次回はぜひこの「ひな鶏」に挑戦してみたいと思います。
ガレト「ペキン」 |
ビールとお通しのバタタ |
壁のメニュー |
ビール2本め |
リングイッサ |
L字カウンターのみの店内 |
リングイッサの計算表 |
まもなく閉店 |
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